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日常を感じてもらえたら嬉しい。

いや~やっと来れた。

そう言ってカウンターのいつもの場所に腰掛け、いつもの瓶ビールとギョーザ、そしてつまみの高菜を注文するおじさんが来た。

確かに久しぶり。とはいえ、せいぜい1週間ぶり程度だからちょっと大袈裟だけど、週に一度か二度とのペースで、こんな感じで来てくれていたおじさんが1週間ぶりなんだから、確かに「やっと来れた」というくらい久しぶりと言っても気持ちはわからないでもない。

今回の台風15号の上陸がもたらした被害は、当初の想像をはるかに超えていた。つまり正直「なめていた」。少なくともボク個人はなめていた。夜中に始まった停電も「またすぐ復旧するだろう」と思っていた。

月曜日の朝、停電のまま「すぐ来るであろう復旧後」を見越して台風の雨風吹き荒む中、いつもの仕込みに向かった。途中の街の様子、そしてお店に着いてから「ん?これはいつもよりヒドいぞ」そう実感した。

看板が吹き飛ばされた

そこからの1週間は、報道やWEBニュース等を見て頂けたらと思うのでここではあえて書かないが、千葉県内各地でこれまで経験のない被害を受けた。

住む人たちの被害の大小はあると思うが、それぞれ各地で日常とは違う「非日常」、いや『非常事態』に戸惑い、疲弊した。

幸い友理、そしてボクが住む地域は停電のみで、、、もちろん建物等の被害があった人もいると思うが、、、その停電も丸2日後に復旧した。

通電後も近隣のスーパー・コンビニには食料品を買い求める人が殺到し、物が並べは一気に棚が空っぽになった。また停電中の為レジが使えず、店が開けられないところも多かった。ガソリンスタンドは長蛇の列。2時間3時間待ちというところもあったという。しかし車の中の方がエアコンが効き、テレビも見れて情報が得られるから家に居るよりもマシだったいう声も聞かれた。

友理は急きょ翌日火曜日から開けた。

火曜日は定休日だったが、状況を判断して社長の鶴の一声で動いた。ホルモン焼、ギョーザ、焼きめしなどすぐにお持ち帰りして食べられるものを、パック詰めしていつもの半額程度で販売した。このまま停電が続いて冷蔵庫内の食材を廃棄してしまうのを待つだけなら、食料に困ってる方たちにお分けした方がいいという気持ちもあった。

あの計画停電を思い出す

翌日から電気も復旧したが、麺の入荷が出来なくて、前日同様にお持ち帰りのみで営業。


こうした喜びの声を聞けるのは嬉しい限り。やってよかった。

翌々日木曜日からは通常の営業を取り戻した。

忘れてたな….

土曜日からはカレンダー上では3連休。もはや3連休ともなると、発注から仕込み、そして営業中もボクたちお店側の人間はすっかり通常の連休モードで対応した。つまりお店としては『いつもの週末』だった。いつもの週末、いつもの連休を必死にがんばった。

なによりも、食べに来てくれるお客さんがいるからがんばれた。やはりボクたちは、目の前のお客さんに喜んでもらうことが仕事の原動力だと実感した。そしてこれがボクたちの日常だ。

停電断水からの復旧が遅れている千葉県10日夜の千葉市内。同じ町内でも通電地区と停電地区が混在している(写真:筆者) 9日未明に上陸した台風15号の影響による千葉県の大規模停電は、上陸から6日経った14

繋がりのあるフードジャーナリスト山路力也氏のご好意により、Yahooニュースの記事内で取り上げ頂いた。記事内の締めの一文にあるように、県内のラーメン屋さんで一日も早くおいしいラーメンを提供できる日が来ることを願うばかりだ。

そしてお店側が日常を取り戻したら、食べに来てくれるお客さんに「日常」を味わってもらう。

いや~やっと来れた。

と言った冒頭のおじさんも、やっと味わえたいつものカウンターで飲むビールとギョーザは格別だったと思う。実際この3連休はビールのご注文が多かった。ラーメンはもちろんだが、ビールのご注文が多かったのはなんだかじわりと嬉しかった。

やれ特別感、やれ付加価値だと指南される飲食業界だけど、この『日常感』を感じてもらうことも大事な役割だと実感する1週間だった。

こうしてボクも久しぶりに訪れた定休日に、この文章が書けてなんだか嬉しい。